12回目のProgram for Competitionを終えて

ここ20数年…乱立する子供対象のコンクールに対して、年端もいかない子供たちが十分な基礎トレーニングを積まないまま、大人の期待に応え、入賞したいがための表面的な技術[コンクール受けする魅せ方]を練習し、流行りのバリエーションを踊る…という現象化を感じるようになりました。
それは現象であり、流行ともいえます。

ところが[バレエ]という芸術の体得は、幼少期からの 地味で地道な基礎レッスンと身体性の見直しの連続の先にあります。

この[バレエ]教育の原点に立ち返って、将来的に伸びしろをつくるには、[結果]を求めて早くから過度なテクニックのソロを踊らせることを考え直す時なのではないか、と内外のプロ教師/バレエ団経験者/審査員の方々の賛同を得て、12年前Program for competitionはスタートいたしました。

古典芸術である[バレエ]の作品にはその全幕/全景/創作された時の音楽と振付との間の約束事や微妙なニュアンスが存在します。

パリオペラ座やロイヤルバレエ団、マリンスキーバレエ団などで振付家からプリマへそして次世代のプリマへ伝えられてきた小さな奥義があります。

それはプロフェッショナルトレーニングを習得し切ったバレリーナたちの身体性の高さだからこその振付であったりします。

わざわざ、こんなわかりきった事を あらためて総評として書き記すのは、

・音の文化を習得していない。
・テクニックとテクニックの間のパ、助走や歩き方こそアカデミックさであるのに、蔑ろにしている
・クラス中の短いアンシェヌマンも覚えられない
というような

ワークショップクラス中、
基本事項がまだまだ習得不足、練習不足であるお子さんが増えたように見受けられました。

Program for competitionスタートから第5回くらいまでのクラスもバリエーションも基礎の積み立てが透けて見えていた頃と[バレエ]への取り組みが変わってきてしまったのか、と危惧を抱くような回でした。

ワークショップクラスから受講されたエントリー者のみなさんはレッスン中、審査員の先生方から上記のようなアドバイスをされたと思います。

ですから、ここで
もう一度初心に戻って

バレエの基礎レッスンの大切さをかみしめ、股関節からアンディオールに働く薄い筋肉を連動させられるように日常のクラスレッスンに励んでほしいと希います。

(審査員/実行委員による終演直後のまとめより)



各審査員の先生方の選考


アザット・ガリビヤン先生
海外バレエ団・バレエ学校短期留学賞

アルメニア国立バレエ学校<短期>
123,125、128,147

ヤナチェックコンサバトリー(チェコ)<短期>
128,147

ペンシルベニアバレエアカデミー <サマー>
43,53,59,69,70,79,85,88,90,105,115,120,123

バレエアプロムワークショップスカラーシップ
(3月28日〜29日福岡市民会館)全額免除
128,147


ワークショップクラス/舞台上でのヴァリエーション演技とを合わせてのベストです

鶴谷美穂先生
※東京でのお仕事の都合上BS,B,A部門とワークショップクラス審査からの選抜
将来性のある Best12(順位ではありません)
40
43
44
51
53
69
70
84
85
88
99
105

ワークショップクラスで将来性を感じたBest7(順位ではありません)
90
99
105
115
128
134
136

柴田有紀先生
将来性のある Best10(順位ではありません)
10
69
115
125
128
134
144
147
201
202

ワークショップクラスで将来性を感じたBest11(順位ではありません)
10
29
35
73
90
115
125
128
134
136
147

平井優子先生
将来性のある Best12(順位ではありません)
21
43
70
100
105
121
125
128
141
144
147
202

大嶋正樹先生
将来性のある Best12(順位ではありません)
35
44
47
51
69
70
84
85
105
115
128
139

ワークショップクラスで将来性を感じたBest10(順位ではありません)

29
90
99
100
115
121
128
134
136

アザット・ガリビヤン先生
将来性のある Best13(順位ではありません)
29
43
70
84
100
105
115
123
125
128
141
144
147

針山愛美先生 ※C部門S部門アンサンブル部門のみリモート審査
将来性のある Best3(順位ではありません)
147
201
202

 


<審査員の先生方からの追加評>

①他のコンクールと比較して、低年齢でも難しいバリエーション選択していたり、トゥシューズを履いてるケースがやや多かった。

来年以降、審査員が推奨するバリエーションやオリジナルのバリエーションに積極的に取り組んでいただきたい。

②欧米のバレエ教育では、自分の筋肉でターンアウトをできるようになる10歳くらいまで足の5番を指導しない。レッスン審査も含めて本日のコンクールを見返してみると、指導を急いだ結果、基礎が抜け落ちてしまっていないかと感じる場面があった。

レッスン審査で気になった点は
・骨盤のニュートラルの理解
・背骨のアライメントの理解
・インナーマッスルを使うことの理解
・足先をきちんと使う
・ムーブメントとしてのターンアウトの理解(ポジションはなんとなく作れている子もいるが)
・ポールドブラや腕の位置の正確性。それによって影響を受ける上体の強さ。
・頭のつけ方(まだ真っ直ぐ立てないうちから頭をつけて指導してしまうと、身体が倒れたり曲がったりしやすくなる)
・表現力
・それぞれのパの性質や成り立ちの理解
・音楽の使い方(カウントできないまたはしていない)
・レッスンに参加する際のモチベーションや積極性
など。

バレエ学校、バレエ団、大きな国際コンクールでは必ずと言ってよいほどレッスン審査があるため、上記のような事を意識して練習して欲しい。

③レッスン審査できちんと踊れていた子はバリエーションもきれいに踊れていた。

④振付がオリジナルと全く違うコンクール用バリエーションが流行りつつある。
それらを練習するとしても、オリジナルの振付を見せてあげることで、作品に対する理解を深めさせてあげたい。そう言った手間をかけることで、表現力を磨くことにも繋がる。